嗜みを忘れてはいけない
嗜み(たしなみ):つつしみ。節度。
文例「嗜みを忘れる」
理学療法士になろうと専門学校に通い出した時の最初授業だったと思うのですが課題図書がありまして、本の題名なんてすっかり忘れてしまったのですが、リハビリテーションとは、的な内容の本でした。
その中でリハビリテーションというものは本来の意義は権利や資格、名誉の回復であり、復権とかそういったものも含めて失ったものを再獲得するという意味合いのもののようです。したがって障害を持った人がその失った機能を回復するだけでなく人間らしく生きる権利の回復という意味合いがあるそうです。
ぼくが整体の人間としてその道を究めたいと思ったのはこういったリハビリテーションの理念からも派生してきたことも含まれるように思います。
人間というのは本来無限の可能性を秘めていると言われていますが、その本来持つ力と言いますか能力を100%発揮することは難しいと言われています。ひとつにはそれは大脳を含めた身体の構造や働きを100%解明できていないからとも言えるのですが、どんな理由があるにせよ今を生きているわたしたちにとりまして、せっかく持って生まれた能力を100%発揮できないままでいることは非常にもったいないことです。もしも、自分が今よりも少しでも違う人間になれるとして違う結果を得られる、違う現実を作り出せるとしたなら、それは自分の中に答えがあるということにもつながります。たとえば実際に今よりもほんの少し楽にほんの少し早く走ったり歩いたりする方法ってありますものね。それが人間の持っている能力を今よりも少しでも発揮する一例だと仮定すれば、自分の能力を開発することって自分の人生をこれまでよりも豊かにするものなんじゃないか?恥ずかしながら、そんな邪な考えで整体を勉強し始めたことを覚えています。
現代社会はテクノロジーの発達とともに失った機能を再獲得する技術も発達してきました。それどころか人間がさらに便利に生活できるように本来元々人間が持っていた機能をアップグレードするという動きもあるようです。
今ある医療の技術も元々は同じような動きで発展、拡大していったようですね。昔は戦争で顔が傷ついた兵士のために整形が考えられ、その研究が進んだそうです。しかし、その研究が進むと今度はよりキレイな顔になるための美容整形が発達してきました。そう考えますと美容整形ってある種のアップグレードですよね。
今回はそういったお話です。集英社文芸の公式noteに井上真偽さんの『ベーシックインカム』から「目に見えない愛情」が公開されていました。
数々のミステリランキングを席巻してきた井上真偽さん。
待望の新刊『ベーシックインカム』が好評発売中です。
今回は特別にその中から短編「目に見えない愛情」を丸ごと公開します!
【あらすじ】
舞台は今より本の少し先の未来。視覚障害を持つ女性が、紫外線まで見えるようになる人工視覚手術の被験者に選ばれました。しかし、彼女は献身的な父に対し、ある「疑惑」を抱くようになり……
「私も最近知ったんだけどね。エンハンスメントっていうのは英語で、日本語だと……強化、って意味かな。これからの障碍補償技術―義手とか、義足とか、私の人工視覚の手術とか。そういう技術って昔みたいに、ただ『健常者と同じことができるようになる』、ってだけじゃなくて」
「うん?」
「たとえば義手なら、より強い力が出せるようになる。義足なら、より速く走れるようになる……パワーアップ、するのよ。機能が」
「人工視覚だと、紫外線とかまで見えちゃうらしいの。それって動物だと、モンシロチョウとかハチドリが見てる世界なのよね。人間でも四色型色覚といって、極まれにそこまで見える人がいるらしいんだけど……。でも、素晴らしいことだと思わない? 手術を受ければ誰でも、蝶や鳥と同じ世界まで自分を広げられるなんて」
視覚障害を持つ女性が人工視覚手術の被検者に選ばれます。それが人間が本来持っている能力をはるかに超えた能力を手にするかもしれないことになります。そのことをエンハンスメントというのだそうです。
この物語に出てくるような人工視覚の話もそうかもしれませんが、われわれは美容整形などでエンハンスメントの恩恵をすでに受けています。もし人工視覚が一般化されればこぞって人工視覚に変える人も出てくるでしょう。
もっとマクロ的に考えてみますと、たとえばぼくのような整体をやる人間は整体の技術を持っています。この技術を用いればだれかを健康にできます。もちろん用いる方法を間違えれば毒になります。用い方によっては毒にも薬にもなるのです。そう考えますと整体の技術も整体としての能力開発も一種のエンハンスメントに違いありません。
エンハンスメントは他の例でも挙げられます。たとえば音や色でそのタイミングを見極めることができる職人さんもそうですし、自分の表現をかたちにできるクリエーターやアーティストもそうでしょう。
そう考えますとみなさんすでにエンハンスメントは経験してきています。エンハンスメントをそれほどおそれることはないのかもしれません。
しかし、ここでたいせつなのは嗜みという概念です。嗜みがない人間がエンハンスメントを獲得するほど危険なものはありません。江戸時代の剣豪などは剣術を究めに究めた先には剣を抜かずに勝つ方法を体得するそうです。剣を使わないために剣の技を磨くのです。ぼくの持つ整体の技もその域まで行けるといいのですが、今の段階では余計なことはしないようにする、程度なものです。まだまだ技を磨く段階ですからね。でも、あちらこちらで剣をすぐに抜いて振り回す剣豪とかいたら、危ないですね。
愛光流では本格的な技術を渡される時に嗜みというお話を師匠より聞かされます。嗜みがないものには技術は渡せないのです。ぼくはそう書きながら今の自分を顧みているところなのですが。
われわれはこれからいろいろな技術革新が起こっていく社会を生きようとしています。その進歩は人間の生活を豊かにするものですが、それを使うものの資質が問われるようになるでしょう。その持つべき資質のひとつが嗜みだと思います。元々日本人の心の中に嗜みはありました。小さいころ両親や祖父母、先輩や友人、近所のおじさんやおばさんなどから言われたような言われてないような、そんな気がしませんか?そういった何となく覚えている日本人の精神が見直されるときが来るのかもしれませんね。
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本来ならば整体操法と言うものは超がつくほど個人的なものです。
ひとりの人間を観てみても健康の問題だけでその人間ができているわけではありません。そのため多方面から観ていくひつようがございます。
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