思い込みは一種の省エネ?無意識の思考と大脳の働きについて

ホームページ内ブログ

 

みなさんは毎日毎日たくさんのことを考えると思うのです。
私はどちらかというとあまり考えない方だと思っているのですが、みなさんの多くは、たくさんいろいろなことを考えて暮らしておられるのだと思います。

 

思い込みの構造

私も一応考えてはいます。しかし整体でいうところの体癖、上下型と言われている人からしますと、おそらく私は何も考えていないに等しいくらいでしょう。

上下型という体癖は大脳昇華型といわれる体癖で、とにかく頭を、大脳で物事を考えるのが得意です。得意というより無意識的に大脳を使います。

上下型以外の人たちでも生活を営んでいくうえでは、大脳を中心に生活を展開していきます。

当然のことです。人間は大脳が故にその他の動物より発達しました。大脳のはたらきは私たちが生きていくうえで重要です。

仕事の合間や移動中の電車の中など、ふとしたときに、目の前のいない家族のことを考えたり、友人や恋人のことを考えたりします。仕事や勉強のことを考える人もおられるかと思います。そうかと思えば、携帯端末をいじって何かを検索したりします。

これらはすべて大脳のはたらきです。

 

大脳のはたらきって重要だということはわかっていました。知っていました。
望ましくない行動は理性の力で抑制しようとしていました。
そして抑制できなかったら「自分は本当に意志が弱い」などと考えていました。
意志が弱いから、いちいちきちんと考えて、判断し、行動するべきだ、と反省していました。
そしてまた繰り返す・・・。
このパターン。
ある種マンネリしているパターンです。

みなさんも「そうだそうだ」と思われる部分もおありなのではないでしょうか?

 

ところが、このパターンですが、このパターンこそが大脳のはたらきだったのです。

AだからBでしょ、っていうパターン。
Aが来た時にBも、Cも、Dも、Eも全部考えたうえで、Bを選択するということ。
これをやらずに、A即Bというスキップ。

これを別の言い方で思い込みといいます。

AだからBでしょって思い込んで、それから行動したり、言葉をかけたり、感情が動いたりします。

Aが来たら必ずBと思い込み、Bから派生した行動、言葉、感情が動く。
Aが来る前に、Aが来たらと想像し、Bという感情が動きます。

思い込みはよくないと言われます。
誰かにレッテルをはったり(レッテルも思い込みのひとつですね)、メール文や言葉から相手の感情を推し量り、思い込む(推し量ると同時に思い込みは生まれる)。

思い込みはよくないから、思い込みをどこかへ押しやろうとしますが、それは無理だったのです。
不可能でした。
なぜなら思い込みは大脳のはたらきの一種でした。
思い込みは大脳の省エネの一種です。

 

知らなくて驚いた

大脳のはたらきとして思い込む機能があるということは、知らなかったことです。

たしかにいちいち大脳で考えていると、コーヒーも注文できません。そうやっているうちに昼休みは終わってしまう。「水曜日はから揚げ定食」と決めていたら迷うこともない。「水曜日にから揚げ定食」と決めたのは自分ですから、大脳ですから、結局大脳ではないかとも思うのですが、これが思い込みのはたらきです。

大脳のすごいところは水曜日になると、ついつい「から揚げ定食」が食べたくなるのです。
私が卑しいだけなのかと思いましたが、そうではなく、これも大脳のはたらきだったのです。

考えている人は大脳を使います。大脳ははたらくとエネルギーを使います。エネルギーが枯渇すると大脳は停止します。大脳はエネルギーが枯渇したら困るので、大脳の立場からするとできるだけ、省エネしたい、コストカットしたいのです。それが思い込みです。

大脳が思い込みという省エネ機能をはたらかせていることを知って驚きました。

 

熟考して判断していると思っていた

これまでは私はあまり得意ではないのですが、多くの頭のいい人たちは、さぞかしたくさんのことを考え、行動しているのだろうと思っていました。

自分なりにですが、熟考して判断していると思っていました。
何か悩みがあったり、決断すべきことが起きると、即断即決することは難しい。いろいろなシュチュエーションを思い浮かべ、熟考し、判断します。
結果の是非は置いておいて、とにかく頭も感情も使います。

このような出来事は、人生経験が豊かですと何度か巡り合います。

頭のいい人は的確な判断をする人、そういう人は頭を使うのが得意な人、うまい人だと思っていました。

しかし大脳は省エネ体質であり、頭のいい人も毎回毎回熟考しているわけではなかったのです。

 

脳の特性を理解していなかった

そもそも大脳は体内の酸素を大量に消費しています。
酸素という物質、身体にしたらとても重要なものです。
クエン酸回路をまわして、エネルギーであるATPを産出するにも酸素が必要です。
言い換えると、酸素がないとATPが作れないのです。

ATPというと、解剖した鶏の筋肉にATPを一滴垂らすと、その筋肉が収縮すると言われており、筋肉の収縮にもATPが必要ということです。

ATPを作るのに酸素が必要ですが、その酸素を大量に消費するのが大脳です。

ですから、大脳が体内の酸素消費量を節約するために、その機能を制限している。むしろ制限しないと大量に消費してしまい、すぐに酸素は枯渇してしまいます。

脳はなるべくなら考えたくない、働きたくないと思っている。
どちらかというと自分勝手で自己中心的な性質を持っている、その他の器官に廻すくらいの酸素があるなら、まずはこっちへよこせ、と言う、それが大脳です。

脳に支配されている人は脳の特性が現れるのではないか?

そう考えますと、大脳支配が進んでいる現代社会が、大脳の性質を反映する社会となっていても不思議ではない。

人間のエゴがさまざまな社会問題を引き起こしていますが、もしかしたら私たち人間の性格や根性の問題ではなく、大脳の性質が表に現れているだけ、なのかもしれないなと思うのです。

そうなりますと「あの人は自己中だから」と揶揄するのではなく、大脳の特性からすると、私たちひとりひとりにも少なからず、大脳的性質を持ち得ていると、半ばあきらめ、半ば開き直ることも必要かと思います。

大脳性質をそれぞれに持っている人間が、相互的に協力して社会を形成しているということに或る種の奇跡を感じます。

そうはいっても「自己中心」と「自己中心」がぶつかると争いしか生まれませんので、まずは大脳の性質と、それが作り出す現代社会の現状を照らし合わせてみて、ご自分の周囲を顧みてみられたらよろしいのではないかと思います。

あきらめと開き直りを胸に。

 

本当は考えてなんかいないのだ

ここで再確認しておかなければいけないのは、私たちは考えているようで考えていないことの方が多いということです。

ほとんどの行動や思考の方向性、感情の動きさえも無意識的に行っています。大脳はその時に立ち止まったり、振り返ったりすることを許してはくれません。

まずはその構造を理解し、大脳に働いてもらうべくところは働いてもらわないといけません。

 

よく考えたうえで判断したと、大脳がスキップして、省エネして出した結論に反射的に行動や言動、感情を委ねてしまうのは危険なことです。

身体のエネルギー不足から起きる現象ではありますが、もともと省エネ体質の大脳も反射的な揺らぎに加担しているようです。

 

脳からの脱却が必要ではないか

大脳を介さない方法はいろいろとありますが、大脳はそもそも介入してはいなかったのだと考えた場合、早々に大脳からの脱却を考える必要があるように思います。

大脳から脱却する方法のひとつがわれわれ愛光流が提唱する明想です。

ここで文献を引用します。

希望にしがみつく人間は死にかけている。なぜならば彼にとって大事なのは未来であって、今ではないからである。ゆえに希望に生きている人間は少しも生きてはいないのである。
今こそが唯一の時間なのである。
人は昨日や明日を生きることはできない。彼は心の中で生きているだけであり、生命とは単なる観念であり、一個の妄想でしかないところの時間の中で生きていることになる。

~中略~

自我とは何か。明らかにそれは記憶である。

あらゆる問題は記憶の、体験の、時間の結果であること。時間自身のレベルでは解決され得るものではない。問題が即時に解決するのは記憶が止んだ時。
問題は時間なきものには存在せず、時間の中にのみ存在する。時間は心の中にしかない。

不安や失望があるがゆえに希望が生まれます。
そして希望にしがみついて生きている。
希望とは美しい言葉でありますが、その裏には不安や失望を抱えています。
だからこそ希望を持ちたがるのかもしれません。
それもまた構造であり、希望が生まれるルールでもあります。

大脳の大きなはたらきは記憶にあるのかもしれません。
自我とは記憶です。
これまで積み上げてきて、作ってきたものが記憶であり、自我です。

記憶は自我であり、自我は心でもあります。
記憶やその構造を識別することが大切です。
記憶から反射的に生み出されるものは、望んでいるものではないことの方が多い。
記憶は新しいものを生み出さないからです。

まずは構造を知り、識別することが大切です。
まずは観察から始まります。
整体も同様で、観察が7割から8割です。

 

今回は大脳の性質を知ることで、大脳が私たち自身ではないことにも気が付きます。
そして本当の私たち自身を見つけることが大切なのではないのかなと思ったというお話でした。

コメント

タイトルとURLをコピーしました